MINISTRY2017.04.18

Line-Up:
Al Jourgensen (Lyrics & Vox, Lead/Rhythm Guitars, Bass, Keyboards, De-programming, Harmonica)

Michael Scaccia (Lead/Rhythm Guitars, Bass)
Sin Quirin (Lead/Rhythm Guitars, Bass)
Tony Campos (Bass)
Sammy D’Ambruoso (Drum/Synth Programming, Remix DJ, B/g Vox),
Aaron Havill (Synth Programming, Theremin, Samples, B/g Vox)

Discography:
1983 With Sympathy
1986 Twitch
1988 The Land Of Rape And Honey
1989 The Mind Is A Terrible Thing To Taste
1990 In Case You Didn’t Feel Like Showing Up (Live)
1992 Psalm 69: The Way To Succeed And The Way To Suck Eggs
1996 Filth Pig
1999 Dark Side Of The Spoon
2002 Sphinctour (Live)
2003 Animositisomina
2004 Houses Of The Molé
2006 Rio Grande Blood
2007 The Last Sucker
2008 Cover Up (Covers)
2009 Adios… Puta Madres (Live)
2010 Undercover (Covers)
2012 Relapse
2013 From Beer To Eternity

2012年4月に復活作「Relapse」を発表、世界最大のヘヴィ・メタル・フェスティヴァル『Wacken Open Air』への出演を含むヨーロッパ・ツアーを行なうなど、精力的な活動を開始したMINISTRYだったが、一方でツアー先のパリで公演中にアル・ジュー ルゲンセンが倒れて病院に担ぎ込まれるなど、その活動は決して順調なものとは言えなかった。そしてツアー後にもまた、別の悲劇が彼らを待ち受けていた…。

MINISTRYのリーダー、アル・ジュールゲンセンほど、固く口を結んだ敗北から勝利を勝ち取れる者はいないだろう。MINISTRY通算13枚目のス タジオ・アルバム「From Beer To Eternity」の制作のためにスタジオに入るにあたり、ジュールゲンセンとそのチームは皆、長きにわたって在籍したギタリスト、マイケル・スカシアの 予期せぬ突然の死(2012年12月22日)に対する深い悲しみを抱えていた。

2012年12月、スカシアとジュールゲンセンは、シン・クイリン<g>、アーロン・ロッシ<ds>、トニー・カンポ ス<b>と共にMINISTRYの新曲の作業を行なっていた。ラフなレコーディングを終えた3日後、自らのバンド、RIGOR MORTISでシンガーのブルース・コルビットの50歳の誕生日を祝うライヴを行なっている最中に、スカシアは心臓発作を起こして倒れ、搬送先の病院で亡 くなった。47歳だった。

スカシアの死は、BUCK SATAN & THE 666 SHOOTERSのセカンド・アルバムや、シカゴ・ブルーズのアルバム、よりスラッシュベースな音楽など、彼らの将来的な計画に悲劇的な終止符を打つこと になった。しかしながら、ジュールゲンセンの『13th Planet Studio』を去る前にスカシアがレコーディングした楽曲はとても素晴らしく、音楽的にも多面的かつ鋭いものだったため、「From Beer To Eternity」はバンドの30年以上にわたるインダストリアル・メタルの歴史のクライマックスを飾る作品となる運命にあった。

「他に選択肢はなかったんだ」ジュールゲンセンは悲喜こもごもの制作過程について語る。「レコーディングの間、マイキーは笑って『アル、これは今まで俺達が作ったMINISTRYのアルバムの中で群を抜いて最高のものだ!素晴らしい』と言っていた」

皮肉に満ち、エフェクトが重ねられたオープニングの”Hail To His Majesty”から、スラッシュ・パンクのリフとベースの低音が反響する”Punch In The Face”まで、「From Beer To Eternity」は聞き覚えのある感じを与えながらも同時に完全にフレッシュで素晴らしい、一切手加減のない作品だ。

「マイキーとシンと3人で座って『さあ、どうしようか?』と話していた時、『新境地を開拓したり、風変わりでサイケデリックな掃除機のようなノイズを出す のはやめて、俺達が得意としていることをやろう』と決めたんだ」ジュールゲンセンは語る。「このアルバムはグレイテスト・ヒッツのようなアルバムではな く、グレイテスト・ビッツなアルバムだ。MINISTRYのキャリアで最高のビッツ(部分)を集めて、1枚のアルバムに蒸留したんだ。脂肪を全て削ぎ落と したフィレミニヨンのようなものだな。REVOLTING COCKSやLARDからの影響すらあるし、俺のキャリアを全てまとめて岩のように固く完成させたようなもの – MINISTRYという宇宙への決定的なガイドだ」

様々なレベルにおいて、スカシアの死はジュールゲンセンにとって大きな衝撃だったが、同様にやる気を起こさせるものでもあった。”Change Of Luck”における中東風でサイケデリックなサウンドから、”Fairly Unbalanced”の錯乱した南部のスラッシュに至るまで、「From Beer To Eternity」がスカシアの多彩なギタープレイをフィーチャーしたMINISTRYの最後のアルバムになることを認識することで、ジュールゲンセンは スカシアが遺したリフと同じくらい多様かつ驚異的なアルバムをレコーディングすることを決意する。音楽的にも感情的にも容易ではないことではあったが。

「どんなアルバムでも、レコーディングの最中に作業を止めて葬式に行くなんてのはとても良い兆しとは言えないだろう」ジュールゲンセンは認める。「その後 3か月かけて、俺は毎日ミックスをしては彼のリフを聴くという作業を繰り返し、毎日彼のことを考えていた。キツい作業だったよ、考えていたよりもずっと辛 かった。彼のことは忘れてミックスに専念できると思っていたんだ。だが、あれ程ひどいことが起きたら逃れられないさ。ただ、マイキーが誇りに思うだろうこ とを、最善の結果が得られるようにやっていると考えることで、何とか乗り切れたんだ」

ジュールゲンセンは、スカシアの死を直接テーマにして”Change Of Luck”を書いたが、この曲は決して不機嫌ではなく、むしろ80年代のポップスのようなメロディックなコーラスを用いている。また、”Side FX Include Mikey’s Middle Finger (TV4)”は、マシンガン・ビート、ギャング・コーラス、処方薬による衰弱の副作用を扱ったTVのコマーシャルのサンプリングという強力な枠組みの中 で、スカシアによる最高のソロをフィーチャーしており、彼のギターの能力に対する直接のトリビュートとなった。

「具合が悪かったり気分がすぐれなかったりして、良くなりたいと思っていても、こうした薬にヒドい目に合わされたりする」ジュールゲンセンは語る。「製薬 会社はボロ儲けしていて、連中がTVでこの薬には危険性があると言ったところで、所詮責任逃れをしているだけだ。要は欲が全てで、とにかく間違っている」

過去の殆どの作品と同様、「From Beer To Eternity」でも辛辣な歌詞や、ジュールゲンセンをインダストリアル・メタルの創始者たらしめたサンプリングを整然と配置することで、欲、偽善、資 本主義、保守主義といったテーマに挑戦している。多くの曲は痛烈で人を怒らせるものだが、あざ笑いや皮肉に満ちた曲もある。”Fairly Unbalanced”はスタッカートのリズムに乗ったFOXニュースのアナウンスのサンプリングから始まり、その後FOXの政治アナリスト、ディック・ モリスによる「オバマが再選される可能性はありません。無、ゼロ、ナシ、絶対に」というセリフに繋がる。

「FOXニュースのサンプリングは次の曲”The Horror”でも使われていて、この共和党による完全なる憎しみ、無知、愚かさのメッセージを叩いている」ジュールゲンセンは明かす。この曲では、レイ プ被害者で妊娠した者は、神から子宮内に子供を授けられたのだという過激な右翼の考えについて触れている。「無神経と愚かさの究極の例だ」ジュールゲンセ ンは語る。「だが、音楽的な視点から言えば、”Fairly Unbalanced”のほとんどMOTORHEAD的なメタルなリフを、完全にレイヴな、クラブのヴァイブへと繋げることに成功していて、とてもクール だと思う。MOTORHEADやDANZIGがこういった曲をやるとは思えない。彼らはその道ではとても素晴らしいが、俺達は自分達の得意なことをいくつ か集めて、完全に違った興味深い方法で混ぜ合わせてお互い上手くハマるかどうか試したんだ」

「From Beer To Eternity」からの第一弾ビデオは、ミッドテンポでメタリックな”PermaWar”になる予定で、トルティーヤチップスよりもクランチーなギター と、生々しく怒りに満ちたヴォーカル、生のドラム、キャッチーでドゥーミーなギターによるフックと、オバマ大統領がテロと核兵器について語るサンプリング を使用した一聴した感じはメロディックなコーラスを組み合わせた曲だ。「あの曲はレイチェル・マドーの本『Drift』を読んでインスパイアされたんだ」 ジュールゲンセンは語る。「金を稼ぎ続ける恒久的な軍事機構、つまりアイゼンハワーがホワイトハウスを去る時に警告した軍産複合体に関する曲だ。アメリカ 政府は、兵器を売り続けて軍事機構を生きながらえさせるために、家族ある若者を兵士として戦場に送り続けている。こういったずっしりしてスローな曲をやっ たのは『Filth Pig』以来だが、今回はキャッチーなバックヴォーカルも使ったから、そういう意味では『Twitch』以来だな」

リスナーに31のフレーヴァーのノイズを叩き付けた後、MINISTRYはREVOLTING COCKS風なディスコに伝染した”Another Lesson Unlearned”へと到達する。ソウルフルな女性バッキング・ヴォーカリスト、パティ・フォックスや、ナイル・ロジャースにインスパイアされたスリー ジーなファンク・ギター、シュっというようなエフェクトをフィーチャーした曲だ。そしてアルバムで最長の曲、8分21秒にわたる”Thanx But No Thanx”は、ジュールゲンセンのお気に入りの退役軍人で仲良しのサージェント・メジャー(上級曹長)が、トリッピーでスペーシーなダブのリズムに乗せ てウィリアム・S・バロウズの「感謝祭の祈り」を読み上げるところから始まる。この曲は途中でクロスオーヴァーの伝説、S.O.D.を思わせるモッシュを 誘発する楽曲へと姿を変え、最後はTHC(大麻の実効成分)がしみ込んだダブのヴァイブと「ドラッグをありがとう」という歌詞を含む反響で幕を閉じる。

「上級曹長は元々『Rio Grande Blood』の”GangGreen”に登場していた」ジュールゲンセンは語る。「彼は年老いた白髪交じりの軍人で、かつてはハードコアな右翼の海兵隊曹 長だったが、今は人生も終わりに近づき、政府を憎み、共和党を嫌うとても左寄りのリベラルな人になった。昔はそういったアティテュードの権化のようだった んだ。肺ガンの手術を受けた数日後に、酸素ボンベにマルボロを1パック、そしてビールを1ケース持ってスタジオに現れた。頑固な老人だが、素晴らしい人間 だ。彼は文字通り酸素ボンベを抱えてチューブを鼻に入れ、タバコを吸ってビールを飲みながらバロウズの朗読をやった。まさにあれこそがハードコアってもん だ」

「From Beer To Eternity」のリリースに先立って、ジュールゲンセンの待望の伝記「Ministry: The Lost Gospels According to Al Jourgensen」が発表される。MINISTRYが「Relapse」のツアーを終えた後に、ジュールゲンセンとヴェテランのジャーナリスト、ジョ ン・ウィーダーホーン(「Louder Than Hell: The Definitive Oral History of Metal」の共同執筆者)によって執筆されたこの本は、30時間を超える会話からまとめられたもので、各章の間には、アルの義理の父エド・ジュールゲン セン、REVOLTING COCKSの共同創設メンバー、リュック・ヴァン・アッカー、KMFDMのフロントマン、サシャ・コニエツコ、DEAD KENNEDYSやLARDのヴォーカリスト、ジェロ・ビアフラ、REVOLTING COCKSのヴォーカリスト、フィルド・オーウェン、BUTTHOLE SURFERSの首魁ギビー・ヘインズ、ジュールゲンセンの二度目の妻で現マネージャーのアンジリーナ・ジュールゲンセン、ヨーロッパ・ツアー・マネー ジャーのホルガー・ブランデスといった、ジュールゲンセンの人生において重要な人々とのインタビューも掲載されている。また、この本には、生前最後のスカ シアとの詳細なインタビューも掲載されている。

マイケル・スカシアが遺したMINISTRYの最終作「From Beer To Eternity」は、2013年9月、ボーナス・トラックを追加収録してSPIRITUAL BEASTよりリリースされる。

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