STEVE GRIMMETT’S GRIM REAPER2017.04.14

Line-Up:
イアン・ナッシュ (Guitar)
マーティン・トレイル (Bass)
スティーヴ・グリメット (Vocals)
ポール・ホワイト (Drums)

Discography:
1983 See You In Hell
1985 Fear No Evil
1987 Rock You To Hell
2016 Walking In The Shadows

Biography:
NWOBHMのムーヴメントから登場したGRIM REAPERは1979年、ギタリストのニック・ボウコットを中心に、イギリスはウエスト・ミッドランズのドロイトウィッチで結成される。当初は別のシンガーと共に活動をスタートさせたバンドは、『Heavy Metal Records』からリリースされたコンピレーション「Heavy Metal Heroes」に楽曲を提供、デモ・テープをリリースする。その後、シンガーにスティーヴ・グリメットを含む新たな編成で100以上ものバンドが参加したコンテストを勝ち抜くと、その優勝賞品としてスタジオを無料で使用できる機会を得た彼らは4曲入りのデモをレコーディング。これをきっかけに、1982年、『Ebony Records』との契約を獲得する。この時のラインナップは、ニック・ボウコット<g>、スティーヴ・グリメット<vo>、デイヴ・ワンクリン<b>、リー・ハリス<ds>の4人だ。

バンドはレーベルのオーナー、ダリル・ジョンストンのプロデュースのもと、わずか4日間でデビュー・アルバム「See You In Hell」をレコーディング。ニック・ボウコットのクラシックなブリティッシュ・メタルのリフと、スティーヴ・グリメットの比類なきヴォーカルをフィーチャー、イギリスでは1983年にリリースされたこのアルバムは、大西洋を越えたアメリカでは『RCA Records』より翌1984年にリリースされ、MTVでタイトル曲のPVがヘヴィ・ローテーションされたこともあって『Billboard』のチャートで最高位73位を獲得、最終的には20万枚を超える売上げを記録するヒットとなった。そして、バンドはEXCITERやSLAYERなどとアメリカでクラブ・ツアーを行ってアルバムのプロモーションを行った。

翌1985年には、ドラマーにマーク・サイモンを迎え、再びダリル・ジョンストンのプロデュースのもと、セカンド・アルバム「Fear No Evil」をレコーディングする。前作よりも長く、9日間という時間をかけてレコーディングされたこともあり、プロダクション面でも進歩が見られたこのアルバムは、イギリスでは『Ebony Records』から、アメリカでも再び『RCA Records』からリリースされ、全米チャートで最高位111位というまずまずの売上げを記録した。バンドはURIAH HEEPのサポートや、自らヘッドライナーとしてアメリカをツアーした他、同年夏にはダラスの『Cotton Bowl』で開催された『Texxas Jam』に出演。8万人もの大観衆を前に、DEEP PURPLE、SCORPIONS、NIGHT RANGER、TED NUGENT、BON JOVIらと共演を果たした。

1986年に入ると、バンドは三たびダリル・ジョンストンのプロデュースのもとニュー・アルバムのレコーディングを行うが、商業的にも成功、露出も増え続けるバンドの勝負作となるべき作品として、更なる高みを目指す『RCA』がプロダクションに難色を示しこれを拒否。その後、長期の法的闘争を経て『Ebony Records』との契約を解消したバンドは、『RCA Records』と直接の契約を果たすと、アメリカに渡り新たにアルバムのレコーディングを行う。OZZY OSBOURNEやY&T、LOUDNESSなどを手掛けた敏腕プロデューサー、マックス・ノーマンの手腕もあり、文字通りバンドの最高傑作となったこの「Rock You To Hell」は1987年にリリースされ、バンドはARMORD SAINTとHELLOWEENを従えて『Hell On Wheels』と題された約2ヶ月にわたるアメリカ・ツアーを行う。MTVの『Headbangers Ball』がスポンサーを務めたこのツアーは、途中ミネアポリスの公演の模様が同番組でアメリカ全土にオンエアされるなど、大きな反響を呼び、アルバムも全米チャートで最高位93位を獲得した。なお、この間にベーシストがジェフ・カーティスに交代していた。

その後、ニックはBON JOVIやKEEL、BONFIREらとの共作で知られるソングライター、ジャック・ポンティと共作を行うなど、4枚目のアルバムに向けた準備を開始するが、『Ebony Records』との間の訴訟などバンドの周辺の問題は解決せず、1988年、バンドは解散の道を選ぶ。スティーヴはイギリスのスラッシュ・メタル・バンド、ONSLAUGHTに加入、1989年に「In Search Of Sanity」をリリースするが、その後脱退。ニックは音楽ジャーナリストの道を歩み、現在ではアメリカの『Marshall Amplification』でディレクターを務めている。

1990年代に入ると、スティーヴはLIONSHEARTを結成、「Lionsheart」(1992年)と「Pride In Tact」(1994年)の2枚のアルバムは日本で大きな成功を収め、1993年には来日公演も行った。その後、彼らは1998年に「Under Fire」、活動休止を経た2004年
には「Abyss」と2枚のアルバムを発表する。また、この間には、アメリカのテレビ・アニメ「Beavis And Butthead」でGRIM REAPERの3枚のアルバムからそれぞれのタイトル曲のPVが使用され、話題を呼んだ。

2006年に入ると、ドイツの『Keep It True』フェスティヴァルからGRIM REAPERとして出演のオファーを受けるが、ニックが参加できなかったため、STEVE GRIMMETT’S GRIM REAPERの名の下、2000年代にSEVEN DEADLY SINSでスティーヴと活動を共にし、LIONSHEARTの「Abyss」にも参加していたイアン・ナッシュ<g>、同じくSEVEN DEADLY SINS時代の盟友ピート・ニューデック<ds/ 後にEDEN’S CURSEやIN FAITH、TAINTED NATIONなどにも参加>、リッチ・ウォーカー<b>、そしてスティーヴ・グリメット<vo>という編成で出演を果たし、GRIM REAPERの名曲の数々を披露した。また、2007年には、この編成でスティーヴのソロ・アルバム「Personal Crisis」もリリースされた。

『Keep It True』への出演が話題を呼び、バンドは同年の『Heavy Metal Maniacs Festival VII』(オランダ)にも出演を果たした他、2009年には『Metalbrew』(イギリス)にヘッドライナーとして出演。翌2010年には『British Steel Fest』(イタリア)にANGEL WITCH、GIRLSCHOOL、DIAMOND HEADといったNWOBHMの盟友達と出演を果たした他、南米ツアーも行った。なお、この頃になると、ベーシストがチャズ・グリマルディに、ドラマーはマーク・ランブルに代わっていた。また、2011年にはギリシャ、キプロスをツアー。この際、スティーヴが当時のギリシャの金融大臣、エヴァンゲロス・ヴェニゼロスに似ているとインターネットを中心に話題となり、ギリシャの国営TVや全国紙で取り上げられた他、 様々な雑誌の表紙や巻頭記事になるなど、バンドとしても大きな注目を集め、結果としてツアーは大成功を収めた。

2012年にはスウェーデンの『Muskelrock』にヘッドライナーとして、翌2013年にはドイツの『Sword Brothers』やベルギーの
『Heavy Sound Festival』といったフェスティヴァルに出演したバンドは、同年から断続的にアルバムのレコーディングを開始する。2014年にはアメリカはシカゴで開催された『Ragnarokkr Metal Apocalypse』に出演。1987年以来初となるアメリカ上陸となったこのフェスティヴァルでは、オリジナル・ギタリストのニック・ボウコットも何曲かに飛び入り、四半世紀以上振りにスティーヴと同じステージに立った。この公演が好評を呼び、バンドは同年6月には再びアメリカに戻り、ツアーも行った。また、同年末には、彼らのアルバムのタイトルを冠したギリシャの『Rock You To Hell Festival』にも出演を果たした。なお、この頃には、ドラマーにポール・ホワイトが参加していた。2015年には「Fear No Evil」リリース30周年を記念して9月から10月にかけて南米ツアーを行うと、翌2016年3月から4月には再びアメリカ・ツアーも行った。なお、イアンが参加出来ず、リッチー・イェーツが代役を務めたこのアメリカ・ツアーでも、何公演かでニック・ボウコットが飛び入りを果たした。

そしてアメリカ・ツアーから帰国後、遂にアルバムを完成させる。スティーヴ所有の『Samurai Studio』で長きにわたりレコーディング、スティーヴとイアンがプロデュースを担当したこのアルバムのミックスを手掛けたのは、元メンバーでもあり、スティーヴのソロ・アルバムを始め様々な作品のプロデュース/エンジニアを努めて来たピート・ニューデックだ。そしてマスタリングはHAREM SCAREMのハリー・ヘスが担当した。なお、この間に、ベーシストとして、イギリスのパワー・メタル・バンド、FURYでもプレイするマーティン・トレイルが参加した。

ニック・ボウコットが参加していないためにSTEVE GRIMMETT’S GRIM REAPER名義ではあるが、実質的にGRIM REAPERの約29年振りの4枚目のアルバムとなるこの「Walking In The Shadows」は、スティーヴの衰えを知らぬヴォーカルと、オリジナル・ギタリスト、ニックの教え子であったイアン・ナッシュのギターが共鳴し、ファンが待ちわびた甲斐のある、これぞGRIM REAPERという内容に仕上がっている。2016年9月、SPIRITUAL BEASTより世界と時を同じくしてリリースされる日本盤には、ボーナス・トラックの追加が予定されている。

なお、アルバムのリリース後、バンドは10月から11月にかけ、今年二度目となるアメリカ・ツアーを行う予定となっている。

Websites:
http://grimreaperofficial.com/
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