TYRANEX2017.04.15

Line-Up:
ヨハネス・リンドストローム (Drums)
リネア・ランドステッド (Guitars, Vocals)
ペル・リンドストローム (Bass)

Discography:
2006 Demo
2008 Blade Of The Sacrificer (Demo)
2009 The Evil Has Arrived (Demo)
2011 Extermination Has Begun
2014 Unable To Tame

Biography:
「メタルヘッズじゃないなんて、死んだも同然よ。」
そう言い切るのは、今日のアンダーグラウンド・シーンでも異質な存在感を放つオールドスクール・スラッシュ/スピード・メタル・バンド、TYRANEXのシンガー兼ギタリスト、リネア・ランドステッドだ。ただ一人の女性メンバーでありながら、結成当初からこれまでバンドを牽引し続けてきた。男性支配的なHM/HRシーンにおいて、リネアのような女性ミュージシャンの存在に「紅一点」、「華を添える」などの表現が伴うことは少なくないが、そうした数々の修辞がリネアを前に如何に意味を失うかは、本作「Unable To Tame」を聴いた者なら誰であれ、数秒以内に悟る事になるだろう。彼女の掻き鳴らす、猛火の如く逆上するギター・ソロにはオールドスクール・スラッシュ・スタイルへの完璧な憧憬が根付いており、どんな言葉よりも遥かに雄弁に、聴き手の魂を衝き動かしてしまうからだ。メタルヘッズなら誰もが心の深淵に潜ませている、ごくごくピュアで、ファストで、そしてロウなヘヴィ・メタルを求める本能的な衝動。TYRANEXはそうした全ての衝動に応えうる、真のメタル・アティテュードを備えた存在なのである。

時は2005年、スウェーデンの首都ストックホルム。TYRANEXを結成したのは当時18歳だったリネアと、やや年長だったパロマ・エストラーダという二人の少女だった。リネアは10代前半の頃からIRON MAIDEN、MEGADETHなどのギター・リフを熱心に練習しており、将来は自身のバンドで世界中をツアーすることを夢見ていた。リネアは、かのNECROPHOBICやNIFELHEIM等に数年間在籍した敏腕ギタリスト、セバスチャン・ラムステッドを実兄に持つことから、メタルにはごく近しい環境で育ってきたことが伺える。(なおセバスチャンは現在、元ENTOMBEDのピーター・スターンヴィンドを中心に、ENFORCERのヨセフ・トールとヨナス・ヴィクストランドらも参加するメタル・バンド、BLACK TRIPの一員として活躍している。)当時のリネアはギタリストとして他のバンドに在籍していながら、メンバーとのモチベーションの差にジレンマを抱いていた。自分と同じほどの情熱を抱くシンガー志望の少女がいるという噂を聞いてはいたが、偶然にもスウェーデンのヘヴィ・メタル・バンドであるRAMのライヴ会場で二人は対面。果たして、バンドの結成に向けて早速意気投合するのだった。

その後、ベーシストとドラマーが加わり、バンドのラインナップが完成したのは2006年の事で、パロマが詞を書きリネアが曲を付ける、という共同作業によって幾つかのオリジナル・ナンバーが書き上げられていった。しかし、僅か一年後にはパロマのドイツ移住が決まり、TYRANEXのシンガーとしての活動は継続不可能になってしまう。やむなくバンドを去ったパロマの後任を探す間、ヴォーカルは一時的にリネアが兼任することになった。実際には男性シンガーを探していたというが、相応しい人物は結局見つからず、当時のメンバー達は「このままシンガーとして歌ってみてはどうか」とリネアを説得。「バンドにとって女性シンガーが必要だと思っているわけではないけれど、私自身にとってTYRANEXで歌うことが必要だとは確信してる。だから今は、他の誰かに委ねるということは全く望んでいないの。」当初こそ、「仕方なく」マイクを握っていたというリネアだが、いつしか自分の役割とポジションに対する信念が芽生えるようになっていった。前任のパロマはダークかつディープなクリーン・ヴォイスを特徴とするシンガーで、バンドも正統派寄りのヘヴィ・メタルをプレイしていたが、リネアの持つ荒々しく甲高いスクリーミング・ヴォイスと、当時彼女が傾倒していた数々のスラッシュ・メタル・バンドの影響により、次第にバンドのスタイルはよりパワフルで荒々しいスラッシュ・スタイルへと変貌していった。

以降、数回のメンバー・チェンジを行いながら、現在まで在籍するドラマー、ヨハネス・リンドストロームが2010年に加入。
コンスタントにデモを発表してきたTYRANEXだが、初のフルレンス・アルバムをリリースしたのは翌2011年の事だった。リネアとヨハネス以外のラインナップは、最初期から在籍しているステファン・タイランダー<b>、マーティン・セットマール<g>という4人編成。「Extermination Has Begun」と名付けられたこの9曲入りアルバムは、フランスの『Infernö Records』から1000枚限定リリースされ、のちにスウェーデン、フィンランド、ドイツ、オランダ、ベルギー、スペイン、フランスなどをまたぐヨーロッパ・ツアーが行われる。さらには余勢を駆ってフィンランドのメタル・フェス『Jalometalli』に出演。ヘッドライナーを務めたSODOM、SEPALTURAの他、NAPALM DEATH、CATHEDRAL、ENTOMBEDといった数多の大御所達との共演は、バンドを更なる高みへと駆け上がらせる起爆剤となった。

オリジナル・フルとしては2作目となる「Unable To Tame」の構想が練られ始めたのは2013年初頭の事で、高まるファンからの要望に応えての流れだったという。この頃にはギタリストだったマーティンは既に脱退しており、ベーシストも前任のステファンからペル・リンドストロームに交替していた。ストックホルムから約100km近く西に離れたヴェステロースに拠点を移し、レコーディングはリネアがヴォーカルとリード・ギターを兼役するトリオ編成にて行われた。上述の『Jalometalli』の他、『Metal Assault』、『Steelfest Open Air』、『Taunus Metal Festival』といった数々のフェス出演によって今やボーダーレスに膨れ上がったTYRANEXのフォロワー達は、3年ぶりとなるフル・アルバムのリリースを前に早くも加熱状態となっている。なお本作のレコーディング後には、ライヴ・サポートとして元IMMACULATEのニノ・ヴコヴィッチ<g>が加入しており、ツアーへ向けた体勢も万全といったところだ。

ミックスにペレ・サエター(TERROR 2000, CRYONIC TEMPLE, WOLF, AXENSTAR, etc.)、マスタリングにダニエル・ベックマン(DEALS DEATH, MANEGARM, etc.)という顔ぶれを迎えて完成した本作「Unable To Tame」。ヨーロッパでは一足先に『Black Lodge Records』から発売予定となっており、スラッシャーのみならず、スピード・メタル・ファンやNWOTHMファンも迎撃体制を整えておくべきアグレッション極まる一枚となった。ボーナス・トラックとして2009年のデモより“Spit Black (In Their aces)”を加えた日本盤は、来る12月、SPIRITUAL BEASTよりリリースされる。

Websites:
http://tyranex.net/
https://www.facebook.com/tyranexband/