SACRIFICE2017.04.21

Line-Up:
スコット・ワッツ (bass)
ジョー・リコ (lead guitar)
ロブ・ウルビナーティ (vocals & guitars)
ガス・ピン (drums)

Discography:
1985 Torment in Fire
1987 Forward to Termination
1990 Soldiers of Misfortune
1993 Apocalypse Inside
2010 The Ones I Condemn

Biography:
METALLICAやSLAYERといった同時代の大物達のような成功を収めることはできなかったが、北米のエクストリーム・メタル・シーンにおいて数々のバンドに影響を与え、消し去ることのできない遺産を残したカナダはトロント出身のSACRIFICEは、1983年、ヴォーカリスト/ギタリストのロブ・ウルビナーティと、ギタリストのジョー・リコの二人のティーンエイジャーによって結成される。専任ヴォーカリストにジョン・ボルディ、ベーシストにスコット・ワッツ、ドラマーにクレイグ・ボイルを迎えてラインナップを完成した彼らは、METALLICA, BLACK SABBATH, EXCITER, JUDAS PRIESTなどのカヴァーをプレイしながら腕を磨いていく。1984年1月、HERRENVOLKのオープニング・アクトとしてライヴ・デビューを飾ったが、このグラム・バンドのシンガーは、後にSKID ROWなどで活躍するセバスチャン・バックであった。その後、地元を中心にデモ/リハーサル・テープを発表、その中には、METALLICAやEXCITER, SLAYERのカヴァーも収録されていた。また、ロブとジョーの二人は、同郷のスラッシャー、SLAUGHTERの1984年のデモ「Bloody Karnage」にもゲスト参加した。

その後、ロブがヴォーカルも兼任する形でヘヴィな方向へと進み始めたバンドは、新たにドラマーにガス・リンを迎えてクラシックなラインナップを完成すると、1985年に「The Exorcism」と名付けられた8曲入りのデモをレコーディングする。地元トロントでEXODUSのオープニングを務めたことで、カナダの次なるヒーローとしてレーベルからの注目も集まる中、SLAUGHTERと同じく『Fringe Records』の『Diabolic Force』レーベルと契約を果たすと、ブライアン・テイラーのプロデュースのもと、『Future Sound Studio』にてデビュー・アルバム「Torment In Fire」のレコーディングを行う。プロダクションはお世辞にも良いとは言い難いものであったが、多くのミュージシャンをインスパイアしたこのアルバムは、1985年9月にカナダで、翌1986年にはアメリカは『Metal Blade』により、ヨーロッパでは『Roadrunner Records』により、それぞれリリースされた。

この間にスタジオに戻ったバンドは、DISCHARGEのカヴァーを含む7曲をデモとしてレコーディング、次作の準備を進めていく。また、KING DIAMONDの初の北米ツアー(サポートはMEGADETH)においてオンタリオでオープニング・アクトを務めた他、トロントで「Reign In Blood」ツアー中のSLAYERと共演したり、モントリオールで開催された『No Speed Limit』フェスティヴァル(POSSESSED, VOIVOD, D.R.I., AGNOSTIC FRONTなど)に出演するなど、積極的なライヴ活動も行った。

1987年に入ると、遂にアメリカへの進出を果たしたバンドは、STRAW DOGSやC.O.C.らと共にいくつかのショウをこなすと、カナダ・ツアーを行った後、ブライアン・テイラーをコ・プロデューサーに迎え、『Grant Avenue Studio』にてセカンド・アルバム「Forward To Termination」のレコーディングを行う。プロダクションも大幅に向上したこのアルバムは、”Re-animation”のPVが頻繁にオンエアされたこともあり、地元カナダを中心に良好なセールスを記録した。このアルバムも、前作同様『Metal Blade』ならびに『Roadrunner Records』の手により国外でリリースされた。

アメリカ市場については、DEATH ANGELとBLOOD FEASTのツアーに参加する話や、HIRAXやAT WARとツアーする可能性もあったが金銭的な問題で実現せず、バンドは第一回目の『Milwaukee Metal Fest』にKING DIAMOND, TROUBLE, DESTRUCTION, NUCLEAR ASSAULT, METAL CHURCHらとともに出演した他は、NUCLEAR ASSAULTと中西部をツアーするに留まった(NUCLEAR ASSAULTとは翌1988年にカナダ・ツアーも行った)。その後、東海岸でMOTORHEADのサポートを得る機会も獲得したが、僅か2回の公演に終わってしまった。

エンジニアにジョー・プリモーを迎え『Phase One Studios』に入ったバンドは、再びブライアン・テイラーのコ・プロデュースのもと、サード・アルバム「Soldiers Of Misfortune」のレコーディングを行う。1990年10月にまずカナダでリリースされたこのアルバムは、翌年『Metal Blade』よりアメリカでリリースされるが、ヨーロッパでのリリースは実現しなかった…。アルバムのリリースと前後して、レーベルメイトでもあるRAZORとカナダ・ツアーに出発したバンドは、MORBID ANGELらと共に『Michigan Death Fest』にも出演、数多くのデス・メタル・バンドの中、唯一のスピード/スラッシュ・メタル・バンドとして観衆を熱狂させた。

その後、ツアー生活に疲れたドラマーのガスが脱退。バンドはスコットの兄弟、マーク・ワッツがヴォーカル/ギターを務めるDARK LEGIONのドラマーでもあったマイク・ローゼンタールを後任に迎えると、1991年7月、SEPULTURA, CYCLONE TEMPLE, NAPALM DEATH, MASSACRE, DEICIDEらと共に、二度目となる『Milwaukee Metal Fest』への出演を果たす。そして、同年10月、遂に待望のアメリカ・ツアーが実現。イギリスのデス・メタル・バンド、BOLT THROWERのサポート(他のサポート・バンドはBELIEVER)という、彼らにとって理想的とは言えない組み合わせだったが、それでもバンドのパフォーマンスは各地で大きな反響を得た。

RAZORのギタリスト、デイヴ・カーロと、地元トロントのプロデューサー/エンジニア(後にHAREM SCAREMやTHEORY OF A DEAD MANなども担当)との共同プロデュースのもと、再び『Phase One Studios』に入ったバンドは、4枚目のアルバムとなる「Apocalypse Inside」をレコーディング。このアルバムは1993年、『Metal Blade』の手により全世界へとリリースされた。リリース後に音楽的方向性の違いにより、スコットが脱退。後任にケヴィン・ウィンバリーを迎えたバンドは、DEATHのサポート(他のサポート・バンドはGOREFEST)としてアメリカ・ツアーに出るが、スピード/スラッシュ・メタルには冬の時代、レーベルからもドロップされてしまい、遂にバンドは解散してしまう…。

バンドの解散後、ロブとケヴィンは元MONSTER VOODOO MACHINEのギタリスト、クリス・ハリス、同じく元MONSTER VOODOO MACHINE/MUNDANEのドラマー、ドリュー・ゴーリーとINTERZONEを結成、1999年にはBJORKのカヴァーを含む7曲入りデビューEP「Cydonia」をリリースする。また、ロブは2002年には、STRAPPING YOUNG LADのギタリスト、ジェド・サイモンのサイド・プロジェクトに、DARK ANGEL, DEATH, STRAPPING YOUNG LAD etcのジーン・ホグラン<ds>、FORBIDDENのグレン・アルヴェイラス<g>、GRIP INC.のスチュアート・カラザース<b>らと共に参加。後にこのプロジェクトは、元EXODUSのスティーヴ “ゼトロ” サウザらを迎え、TENETへと発展していく(2009年に「Sovereign」を発表)。

その後2004年に入り、ブラジルの『Marquee Records』から「Torment In Fire」,「Forward To Termination」,「Soldiers Of Misfortune」の3枚のアルバムがそれぞれボーナス音源を多数追加収録した2枚組として再発されたことから、バンドに対する関心が俄然高まる中、2006年9月、ロブ、ジョー、スコット、ガスの4人のオリジナル・メンバーが揃い、トロントの『Opera House』で開催された『Day Of The Equinox II』フェスティヴァルにおいて、一夜限りの再結成ライヴが行われた。

そして再結成はその一夜だけに終わることなく、バンドは活動を継続。2009年、遂に通算5枚目となる復活作「The Ones I Condemn」が完成した。1993年の「Apocalypse Inside」以来約16年振り、オリジナル・ラインナップによるものとしては1990年の「Soldiers Of Misfortune」以来約19年振りとなるこのアルバムは、SUM 41, THE BLACK CROWES, I MOTHER EARTHなどの作品に携わってきたカナダでもトップのプロデューサー/エンジニア、ダライアス・シチェパニアクがエンジニアリングを担当して、トロントの『Rouge Valley Studio』でレコーディングされた。ゲストにジェド・サイモン(g/ STRAPPING YOUNG LAD, TENET etc)、デイヴ・ヒューソン(vo/ SLAUGHTER (Canada))も参加、早くも世界各地で2009年度最高のスラッシュ・メタル・アルバムとの呼び声も高いこのアルバムは2010年1月の日本発売が決定!SPIRITUAL BEASTよりリリースされる日本盤には、2007年のライヴ・ヴァージョン2曲がボーナス・トラックとして追加収録される。

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