Line-Up:
Rick Wartell (Guitars, Bass)
Bruce Franklin (Guitars, Bass, Backing Vocals)
Kyle Thomas (Vocals, Backing Vocals)
Marko Lira (Drums, Percussion)
Rob Hultz (Bass)
Discography:
1984 Psalm 9
1985 The Skull
1987 Run To The Light
1990 Trouble
1992 Manic Frustration
1995 Plastic Green Head
2007 Simple Mind Condition
2013 The Distortion Field
Biography:
世界中のファンから多大な尊敬を集めるアメリカはシカゴの伝説、TROUBLEが、2007年以来となるアルバムを手にシーンに還って来た。 EXHORDERやFLOODGATE, ALABAMA THUNDERPUSSYといったバンドでの活躍で知られるカイル・トーマスを新たなシンガーに迎えたこの「The Distortion Field」で、バンドはかつてと変わらぬその存在感を示そうとしている。
TROUBLEは1979年、エリック・ワグナー<vo>、ブルース・フランクリン<g>、リック・ワーテ ル<g>、イアン・ブラウン<b>、ジェフ “オリー” オルソン<ds>によって結成される。時に60年代後期のサイケデリックなサウンドも取り入れつつ、BLACK SABBATHを主要なインスピレーションの源とし、彼らは自らの妥協なきクラシック・メタルのブランドを築き上げる。ダウンチューニングによる陰鬱なリ フと、スピリチュアルで、しばしば宗教をオープンに取りあげた歌詞により、彼らの音楽は「ホワイト・メタル」とも称されるようになった。
80年代初頭、アメリカ中西部をツアーしてまわったバンドは、途中ベーシストをショーン・マカリスターに代え、『Metal Blade Records』の名物コンピレーション「Metal Massacre IV」に”The Last Judgement”で参加すると、1984年、同レーベルから素晴らしく成熟したデビュー・アルバム「Trouble」(後に「Psalm 9」と称されるようになる)をリリースする。翌1985年には、前作に勝るとも劣らないセカンド・アルバム「The Skull」を発表。シンガーのワグナーの薬物乱用とバンド内の不和が反映されたこともあり、更に陰鬱な作品だったが、結果的にベーシストのマカリスター が脱退。後任としてロン・ホルツナーが加入した。また、ドラマーのオルソンも脱退、デニス・レッシュが参加して1987年にサード・アルバム「Run To The Light」がリリースされた。このアルバムのツアーでは、テッド・カークパトリックがドラマーを務めた。
その後、事実上活動を停止した3年間を経て、バンドの運命も尽きたかに思われた1990年、リック・ルービンの『Def American Records』が契約をオファー、ルービン自らがプロデュースを担当して二枚目となるセルフ・タイトルのアルバムをリリースする。新たにドラマーに元 ZOETROPEのバリー・スターンを迎えたこのアルバムは、サイケデリックな要素を増やすなど実験的な側面も見られたが、過去のアルバムの路線は継続さ れており、メディアからも非常に高い評価を獲得した。1年にもわたるツアーによって大きくファン層を拡大したバンドは、すぐさまスタジオに入り、更なる飛 躍を遂げるアルバムを作るべくレコーディングを開始する。1992年にリリースされたこの「Manic Frustration」は、BEATLES的サイケデリックな側面を更に掘り下げつつ、バンド史上最もアグレッシヴでエネルギッシュな演奏を収録した意 欲的な作品だったが、台頭するグランジの影響もあってか商業的な成功には見放され、レーベル契約も失ってしまう。1995年にはドラマーにオルソンが復帰 して6枚目のアルバム「Plastic Green Head」をイギリスの大手インディーズ『Music For Nations』からリリースするものの、大きなインパクトを与えることも出来ず、その後ワグナーが脱退(LIDを結成)。バンドはカイル・トーマスをシ ンガーに迎えていくつかフェスティヴァルに出演を行なうが、間もなくシーンの表舞台からは姿を消してしまう。
しかしながら2002年1月、ワグナー、ワーテル、フランクリン、オルソンの4人のオリジナル・メンバーに、長きにわたってベーシストの座を務めたロン・ ホルツナーを加えて地元シカゴでライヴを行ない、TROUBLEは世界中のファンに向けて高らかに復活を宣言する。シカゴ近郊を中心にライヴ活動を継続、 ヨーロッパやアメリカの様々なフェスティヴァルのヘッドライナーを務めるなどする中で、ホルツナーが脱退するが、後任にチャック・ロビンソンを迎えて ニュー・アルバムのソングライティングを行なう。
2004年には元NIRVANA、現FOO FIGHTERSのデイヴ・グロールによるプロジェクト、PROBOTのアルバムにワグナーが参加、再びTROUBLEにも注目が集まることになる。そし て2007年、前作から12年振りとなるニュー・アルバム「Simple Mind Condition」がスウェーデンの『Escapi Music』からリリースされた。このアルバムを手に、バンドは積極的なツアーを行なうが、2008年5月にはワグナーがツアー生活の疲れから脱退を表 明。WARRIOR SOULのシンガー、コリー・クラークが後任として加入した。また、オルソンも再び脱退、後任ドラマーには、TROUBLEの活動休止中にワーテルとホル ツナーが立ち上げたWET ANIMALのメンバー、マルコ・リラが迎えられた。なお、ワグナー、ホルツナー、オルソンの3人は、後にTHE SKULLを結成、TROUBLEの楽曲をプレイすることになる。
こうしてライヴ活動を行ないながら新作のための準備を進めたバンドだったが、その制作過程は決して順調なものではなかった。ワーテルは3年間にも亘るその 過程について「レコーディングでいくつか問題があった。いつも何かしら問題が発生し、その度に『今度はなんだ?』という感じだった。だが、その度に決心を 強めたから、最終的にはよりよいアルバムを作ることができた」と振り返る。その“トラブル”とはどのようなものだったのか? レコーディングしたドラム・トラックが、機器の故障により全て消えてしまったのだ。だが、実際にはそれはバンドにとって幸運とも言える出来事だった。なぜ なら、結果的に前任シンガーと袂を分かち、トーマスをバンドに迎えることになったからだ。ワーテルは語る。「既にヴォーカルもいくつか準備ができていた が、その時点で決断したんだ。失礼なことを言うつもりはないが、アルバムはもっとよくできると感じていた。カイルは俺達の第一候補だったから、彼が参加で きるとわかった時は飛びついたよ。正しい選択だった」
「新しいヴォーカリストを迎えたことで、バンドの完全に別の側面を見せたり、違った要素を引き出すいい機会になったんだ。俺の音楽のキャリアが終わりに近 づいているとすれば、聴いた人が素晴らしいと思うものを残したい」とワーテル。トーマスの参加は明らかにバンドを再活性化させ、フレッシュな原動力を与え た。ワーテルは続ける。「より可能性を広げることができた。カイルはレンジが広いし特定のスタイルに限定されていないから、自由度が増した。曲づくりを始 めた時、ブルースと俺は書きたいものを書こうと決めたんだ。時にバンドは人々に認識されている特定の箱から出ないようにするものだけど、俺達はそんなもの は窓から投げ捨ててやった。『人が何を言おうと気にせずリフを書こう』とね」
初期二作のプロデューサーで、SLAYER, W.A.S.P., FATES WARNING等数々の作品で知られるビル・メトヤーがミックスを担当、現在は元PENTAGRAMのヴィクター・グリフィン率いるIN-GRAVEDで も活動する元メンバーのオルソンも、キーボードでゲスト参加したこのアルバムは、新たなTROUBLEのクラシックとも言えるオープニングの”When The Sky Comes Down”から、メロウな”Have I Told You”、スローかつヘヴィでドゥーミーな初期の楽曲を思わせる”One Life”や、近年のスタイルに通じるキャッチーでグルーヴィな”Paranoia Conspiracy”まで、様々なスタイルの、それでいて一聴してTROUBLEだとわかる楽曲が収録されている。
30年を超えるキャリアを持ちながら、いまだスタイルを広げ続けているTROUBLE。新たなシンガーを迎え、更にその可能性を広げた6年振りのニュー・ アルバム「The Distortion Field」は、2013年10月、ボーナス・トラックを1曲追加収録してSPIRITUAL BEASTよりリリースされる。なお、バンドは正式ベーシストにGODSPEED, SOLACE etcのロブ・ハルツを迎え、10月にはスペインの『Day Of Doom』、オランダの『Dutch Doom Days XII』等のフェスティヴァルに出演する予定となっている。
Website:
http://newtrouble.com/en/