Line-Up:
フランク・チン (Bass)
ブレイク・アンダーソン (Drums)
デイヴィッド・ディサント (Vocals / Guitar)
エリック・ネルソン (Guitar)
Discography:
2004 Nucleus (demo)
2006 Demolition (demo)
2007 Hungry For Violence (demo)
2009 Black Future
2011 Outer Isolation
2016 Terminal Redux
Biography:
自らプログレッシヴ・SF・スラッシュ・メタル・バンドを名乗るVEKTORは、2004年末、フロント・マン/ギタリストのデイヴィッド・ディサントによってアメリカはアリゾナ州テンピにて結成される。ドラム以外の全てのパートをデイヴィッド自らが担当して5曲入りのデモ「Nucleus」をレコーディングした後、翌2005年にリード・シュレッダーのエリック・ネルソンを加えたバンドは、フェニックス周辺でライヴ活動を開始。テクニカルでスピーディなスラッシュにプログレッシヴな要素を加えた彼等は、間もなく独自のユニークなサウンドを構築することに成功、フェニックスのシーンで活動する他のバンドから際立つ存在となっていく。その後、自らのショウを行なう傍ら、TESTAMENT, SIGH, SONATA ARCTICA, FINNTROLL, DARK TRANQUILLITY, FIREWIND, ICED EARTH, MUNICIPAL WASTEといった国内外のバンドのサポートを務めることで、アメリカ南西部において急速に注目すべき存在となっていった。
2006年初頭、バンドは自主制作のデモCD「Demolition」をリリース、アンダーグラウンドのシーンにおいて大きな反応を得るとともに、数多くのダイハードなファンを獲得していく。翌2007年には2曲入りのデモ「Hunger For Violence」を発表して更に大きな反応を得ただけでなく、国外においても多くの耳聡いマニアのアンテナにかかるようになっていった。彼らのヴィジョンを実現しうる完璧なリズム隊を求め、ラインナップの変化は続いたが、ドラマーにブレイク・アンダーソン、ベーシストにフランク・チンが加入すると、ようやく「宇宙征服」という彼らの目標を実現しうるラインナップが完成した。
2008年後半、同レーベルに所属するEXMORTUSの推挙もあって、ニューヨークに本拠を置く『Heavy Artillery Records』との契約を締結すると、翌2009年11月、もはや伝説的とも言えるデビュー・アルバム「Black Future」をリリースする。このアルバムのプロモーションのため、バンドは同年12月から翌1月にかけてそのEXMORTUSとともに『Winter Mayhem』と題された全米ツアーを行なうと、2010年6月から7月にかけては自らのヘッドライン・ツアーも行なった。
メタルのいかなるサブジャンルにも当てはまらない、複雑さと高度な技術が絡み合って作り上げられた完全にユニークな彼らのサウンドは、瞬く間に世界中のメタル・ファンを震撼させた。多くの人が既に新しいアイディアは使い尽くされたと考えるジャンルにおいて、未来を垣間見せたVEKTORのこのアルバムは、全世界で8,000枚を超えるセールスを記録、バンドは一気に『Heavy Artillery Records』のトップ・アーティストへと名乗りを上げた。
そして2011年2月末、再びバイロン・フィルソンをプロデューサーに迎え、まさに待望という表現がふさわしいセカンド・アルバムのレコーディングを開始する。自らデビュー・アルバムで設けた高い基準を上回るべく、時間をかけて制作されたこの「Outer Isolation」は、スタジオ作業の合間にEXMORTUS, HOLY GRAIL, CAULDRON, TOXIC HOLOCAUSTといったバンドと共演しながら、夏には完成。MUNICIPAL WASTE, TOXIC HOLOCAUST, SKELETONWITCHなどの作品で知られるアンドレイ・ボウジコフの手によるアートワークを採用、海外では既に2011年度最高のスラッシュ・メタル・アルバムとの呼び声も高いこのアルバムにて、バンドは2012年1月、SPIRITUAL BEASTより遂に日本デビューを飾る。
その後、東海岸のフィラデルフィアに拠点を移したバンドは、2013年6月、フランスの『Hellfest』(DEF LEPPARD, SAXON, TESTAMENT, VOIVOD etc)に出演して初めてヨーロッパへ上陸すると、同年11月、SPIRITUAL BEAST主催の『JAPANESE ASSAULT FEST 13』の出演のため、待望の初来日を果たす。2日間で完全に異なるセットリストを披露、複雑な楽曲を高度な演奏技術で見事に再現していく様は、ファンに大きな衝撃を与えた。
2014年12月には『Rock Hard Festival Italy』に出演してイタリアへの進出も果たしたバンドは、翌2015年に入ると本格的にサード・アルバムの準備を開始する。バンド自らがプロデュースを担当、バンドのホーム・スタジオの他、地元フィラデルフィアの『Panther Pro Audio』でもレコーディングが行なわれたこのアルバムは、過去2作にも携ったバイロン・フィルソンがアリゾナの『Villain Studios』でミックスを手掛け、同年秋に一度は完成。11月には、リリースに先駆けて”Ultimate Artificer”の音源が公開された(その後、ミックスはやり直された)。
バンドは2015年11月後半から初の本格的なヨーロッパ・ツアーに出発。『First Contact Tour』と題され、スペインのANGELUS APATRIDAとオランダのDISTILLATORを従えたこのヘッドライン・ツアーでは、オランダの『Eindhoven Metal Meeting』(NUCLEAR ASSAULT, ONSLAUGHT, MARDUK etc)への出演も含む、11ヵ国20都市をサーキットした。また、年が明けた2016年2月から3月上旬にかけては、彼らにも多大な影響を与えたバンドの一つ、VOIVODらと共に約1ヶ月に亘るアメリカ西海岸/カナダ・ツアーを行なった。
そして2016年5月、前作から約4年半振りとなる待望のニュー・アルバム「Terminal Redux」が登場する。宇宙を舞台としたストーリーを描くバンド史上初のコンセプト・アルバムで、デイヴィッド自ら「ウルトラ・ヘヴィなスラッシュからプログレッシヴで実験的な要素まで振り幅を持った作品」と語るこのアルバムには、地元フィラデルフィアのソウル・シンガーのグループもゲスト参加、他の何者とも比較のできない、VEKTORならではのヘヴィかつ複雑なリフによるスラッシュ作に新たな彩りを提供している。世界と時を同じくしてSPIRITUAL BEASTよりリリースされる日本盤には、ボーナス・トラックの追加が予定されている。
なお、バンドはアルバムのリリース後、8月にはヨーロッパに戻り、『Brutal Assault Festival』(チェコ/DESTRUCTION, EXODUS, VOIVOD, WHIPLASH etc)や『Into The Grave Festival』(オランダ/SLAYER, KREATOR, EXODUS, VOIVOD etc)など、いくつかのフェスティヴァルに出演する予定となっている。