HAMMERCULT2017.04.14

Line-Up:
ガイ・ベン・デイヴィッド (Guitars)
エラッド・マノール (Bass)
ヤキール・フォン・ハンマー (Vocals)
マーヤン・ヘニック (Drums)
ユヴァル・クレイマー (Guitars)

Discography:
2011 Rise Of The Hammer (EP)
2012 Anthems Of The Damned
2014 Steelcrusher
2015 Built For War

Biography:
あらゆるジャンルのエッセンスを貪欲にイン/アウトプットした無類のエクストリーム・サウンドを持ち味とする、イスラエル発のエクストリーム・スラッシュ・メタル・アクト、HAMMERCULT。米ウェブジン『Metal Riot』での年間ベスト・アルバム獲得を始め、数々のメディアで高評価を獲得した「Steelcrusher」のリリースから約一年半。その僅かな間にも世界のメタル・シーンは刻々と変化し続けており、相並んで彼らHAMMERCULTも独自に変化を遂げてきたわけだが、その成果と全貌がようやく明らかになろうとしている。トラディショナル・ヘヴィ・メタルからパンク/ハードコアまで、バンド史上かつてなく広大なレンジを網羅し、前作を遥かに凌ぐダイナミクスで紡ぎだされたニュー・アルバムは、「Built For War」の名を冠された強力な一枚だ。

2010年10月にイスラエルの中心都市、テル・アヴィヴで結成されたHAMMERCULTは、その強烈なライヴ・パフォーマンスを通じ、僅か数ヶ月の間に国内で熱狂的なファンベースを築くことに成功する。そして早くも国内を制覇したと感じた5人の男達 – ヤキール・ショハット<vo>、アリエ・アラノヴィッチ<g>、ガイ・ベン・デイヴィッド<g>、エラッド・マノール<b>、マーヤン・ヘニック<ds>は、2011年、同国の『Wacken Battle』に参戦すると、見事予選を勝ち抜く。そして同年夏、世界最大のメタル・フェスティヴァル『Wacken Open Air』の会場で開催された本戦において、ドイツのDUST BOLT、メキシコのVOLTAXといった世界各地から参戦したバンドを抑え、優勝を飾ったのだった。それから間もなくしてバンドは、RUNNING WILDやKREATORを始め、HELLOWEEN、CELTIC FROSTなどを擁し、80年代から90年代にかけて一時代を築いたドイツの『Noise Records』の創設者であるカール・ウォルターバックが新たに興したレーベル、『Sonic Attack Records』と契約を果たす。

2011年11月には、バンドはクロスオーヴァー・スラッシュの伝説、D.R.I.のサポートとしてヨーロッパ・ツアーを行なう。これに際し、挨拶代わりとも言うべき5曲入りのEP「Rise Of The Hammer」もリリースされた。そして翌2012年4月には、デビュー・アルバム「Anthems Of The Damned」をリリース。アリエが自らプロデュースを担当、元HATESPHEREのシンガー、ヤコブ・ブレダールがミックスを担当したこのアルバムを手に、バンドは5月から6月にかけてSEPULTURAのヨーロッパ・ツアーのオープニング・アクトを務めた他、HATEBREEDやMALEVOLENT CREATIONとも共演。また、夏には前年の『Wacken Battle』の勝者として『Wacken Open Air』にも凱旋出演を果たすなど、大きな一歩を記した。

2013年の夏に入ると、ドイツの『Summer Breeze Open Air』出演を前にセカンド・アルバムがレコーディングされた。ミックスとマスタリングにSHADOWS FALLやHATEBREED, MUNICIPAL WASTEなどの作品で知られるクリス “ゼウス” ハリス、アートワークにBLIND GUARDIANやRUNNING WILD, HAMMERFALLなどの作品で知られる巨匠アンドレアス・マーシャルといった強力な布陣を敷いてアルバムは完成。「俺はRUNNING WILDからVENOM、IRON MAIDENやMANOWARにJUDAS PRIESTといったように、80’sメタルを聴きながら育ったから、それらの影響を今日のモダン・メタルに適する形にアップデートしている」(ヤキール) バンドの生き様そのものを示すかのように「Steelcrusher」と名付けられた同作は、ジャンルを超越したパワフルで屈強、かつ新鮮味を持ち併せたエクストリーム・サウンドがシーンに大きな衝撃をもたらした。なお2014年3月にSPIRITUAL BEASTより日本盤もリリースされている。

その後、同年7月にはSABATON、CHILDREN OF BODOMらがヘッドライナーを務めたドイツの『Rockharz Open Air 2014』に出演。翌月には東ヨーロッパ屈指のメタル・フェスで、SLAYERを始めCHILDREN OF BODOM、AMON AMARTH、VENOM、SOILWORKらが名を連ねたチェコの『Brutal Assault 2014』へも参戦するなど、本格的な国外進出の道を進み始めたバンドは、秋にヨーロッパ6ヶ国をまたぐツアーを敢行。ツアーの封切りとなったのは、CARCASS、DESTRUCTION、CORONERといったこちらもそうそうたる顔ぶれが並んだフランスの『Rock Your Brain Fest』だった。

忙しないショウ出演の合間を縫いながら次なるサード・アルバムの楽曲制作が着々と進行されていた。2014年末にはほぼ全ての楽曲が出揃った状態となり、並行してクラウドファンディングによって制作資金が募られた。極めてシャープ、かつ前作以上にメロディックで強力なメタル・チューンばかりとなった新曲は、2015年2月、アリエに代わる新たなギタリスト、ユヴァル・クレイマーを迎えてテル・アヴィヴでレコーディングされた。ヤキール自ら「DESTRUCTION meets MANOWAR – エクストリーム・メタルとトゥルー・メタルの爆発的な邂逅」と謳った本作。”From Parts Unknown”と名付けられた短いイントロで始まり、オープナーとして”Rise Of The Hammer”が続く。「拳を突き上げる真のウォー・アンセムだ。ややスロウだがHAMMERCULTの殆どの曲よりもヘヴィで、戦場のど真ん中で象に乗って暴れ回っているような感覚だ。」とはヤキール本人の弁だ。続く”I Live For This Shit”は、ヤキールが彼自身の情熱と生き方について書いた曲になっている。「メタル、人生、群衆の叫び、そして、俺達がHAMMERCULTという名のウォー・マシーンとして世界へ進出していく中で出逢う、様々な人々からもらう強さ。」(ヤキール) そしてこれらのテーマは、作品を通して繰り返し示されるバンドの主題にもなっている。さらに”Spoils Of War”は、バンド史上最も政治的で社会批判の込められた曲になった。「この歌詞は、俺達民衆がどれだけ政治的アジェンダによってミスリードされているか、というテーマで書いたんだ。右だろうが左だろうが同じ事なんだ。その日の終わりになれば結局、戦争産業の燃料になっているんだからな。」(ヤキール) 強烈なメッセージ性を持った彼らの楽曲と歌詞は、イスラエルという国で生まれ育ったバンドとしての確固たるアイデンティティによって産み出されるものだ。

そんな彼らの、怒りや鬱屈、あらゆる感情が爆発せんばかりに詰め込まれた本作のミックスとマスタリングには、THE HAUNTED、HEAVEN SHALL BURN、DARK TRANQUILITY、HOLY MOSESやDIR EN GREYといった数々の著名バンドを手掛けてきたデンマーク人エンジニア、チュー・マッドセンが迎えられた。そしてアートワークはSABATON、CRIMSON SHADOWS、CIVIL WARなどの作品で知られるハンガリー人アーティスト、ピーター・シャライが担当。「今俺達が生きているこの現代社会の中における、HAMMERCULTの進歩にハイライトを当てたかった」というヤキールのコンセプトのもと制作されたアートワークは、背後に様々な問題提起を孕んだインパクトの大きいものに仕上がっている。

かつてとあるインタビューで受けた、「宗教に公平な社会の中では、メタル・ミュージックと宗教は良いコンビネーションになると思うか」との質問に、「自分の都合だけを他人に押し付けない限り、どんなものも上手いコンビネーションになり得るさ。相手への敬意を失わなければ、あらゆるものと結びつけることが出来る。メタルはアルコールのようなものだ。ジュースからコーラまで、なんでもミックスできる。」と答えたヤキール。様々な音楽、政治、そして宗教さえをも、現代のメタル・シーンを駆け抜くための燃料として吸収していくHAMMERCULTは、決して変化を厭うことなく我が道を進み続けるバンドだ。その強大な生命力を以ってエクストリーム・ミュージック・シーンを大いに鼓吹するであろう「Built For War」の日本盤は、SLAYERのカヴァー曲”Evil Has No Boundaries”を含む2曲のボーナス・トラックを加え、SPIRITUAL BEASTより9月にリリース予定である。

Websites:
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